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雨の西沢渓谷

甲斐善光寺


新宿から甲府に到着し、昼食を済ませたあと、甲斐の国の名刹の一つ、甲斐善光寺を拝観した。

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甲斐善光寺

川中島の合戦で信州の善光寺が焼失することを恐れた武田信玄公が、善光寺のご本尊はじめ、お寺の宝をこの地に移して守ったという。武田氏が亡び、ご本尊は武将たちの手を転々としたが、無事、信州の善光寺に戻った。甲斐善光寺では、新たに阿弥陀三尊像をご本尊として安置したという。

山門
山門。重要文化財に指定されている。

山門から金堂を望む
山門から金堂を望む。

金堂
ご本尊が安置されている金堂。重要文化財。天井には大きな龍が描かれ、龍の頭の下で手を叩くと音がぷるぷる反響して聞こえることから、「鳴き龍」と呼ばれている。地下には「お戒壇廻り」(おかいだんめぐり)という真っ暗な狭い廊下がある。どこかにある鍵に触れると、ご本尊とのご縁が授かるそうだが、ついに鍵に触れることができなかった。だが、暗闇の中、手探りしながら歩く他の参拝者さんと手が触れ合ったりして、お互い「あ、すみません」とご縁ができたのは、なかなか楽しかった。

手水舎
清めの水盤のある手水舎。天井を見上げる。

参道にて

帰路、セミしぐれの参道で、「甲斐善光寺参拝記念・信玄アイス」の看板に吸い寄せられた。バニラアイスに黒蜜ときな粉がかかっている。甲斐銘菓「桔梗信玄餅」のアイスクリーム版といったところか。写真を撮っている間に、暑さで傾いてしまった。

信玄アイス

身延線

JR身延線(みのぶせん)に乗って甲斐善光寺に行った。甲府駅から2つ目の善光寺駅が最寄り駅だ。2両編成のワンマン電車で、整理券発券機の位置などから乗降口が限られている。

行き、甲府駅でpasmoで入場した私たちは、電車に乗って初めて身延線がICカード未対応だと知った。降りる時に、乗務員さんにICカードで入場した旨を告げる必要があるらしい。善光寺駅に着いたら、運転士さんが運転席から立ち上がって振り返ったので、pasmoで入ったことを伝えると、「帰り、甲府駅の係員にこの証明書を見せて精算してください」と、小さな書類を書いてくれた。意図したわけではないが、精算するまでは無賃乗車に変わりないのだから、何となく気分が落ち着かなかった。

さて、甲斐善光寺の拝観を終えて善光寺駅に戻ってきたら、甲府行きの下り電車は出たばかりで、1時間待たなくてはならなかった。タクシーにしようかと思ったが、連絡先がわからない。流しの車を見かけた記憶はないし、交通量そのものも少ないので、道に出て探してもムダだろうとあきらめて、駅の待ち合い所で次の電車を待つことにした。予想通り、甲府盆地はとても暑いが、風は思いのほか涼しく、心地よかった。

甲府から善光寺駅に着いた時、帰りの電車の時刻を確認しておかなかったのが、そもそものまちがいのモトなのだが、二人で旅行に出かけると、予約したこと以外は、このようにとてつもなく行き当たりばったりになるのが常だ。しかし、旅行に支障が出るならともかく、少し辛抱すればいいだけのことだし、何より、スケジュールに縛られないのは最高のぜいたくだと思うので、互いの計画性のなさも、笑って罵り合うことができるのだった。

一日のうちで最も暑い盛り、善光寺駅15:02発の電車に乗り込み、エアコンの効いた車内に落ち着いた。甲府駅で降り、改札脇の窓口で証明書を渡して精算した。往復ともpasmoからの引き落としだった。無賃乗車気分も精算されて、ようやくすっきりした。

JR身延線
JR身延線、甲府方面行き。
pasmoでの乗車を示す書類
pasmoで乗車したことを示す証明書。運転士さんが手書きした上、きちんと認め印まで押してくれる。

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